夜尿症(おねしょ)外来
「もうこの歳なのに…」と、お子さんも、おうちの方も、ひとりで抱えていませんか?
夜尿症(おねしょ)は、決して珍しいことでも、本人や家族の努力が足りないわけでもありません。また、夜尿症の多くは病的なものではありません。体の機能の発達に少し時間がかかっているだけで、成長とともに改善することが多いですし、今困っている場合は、適切な対処で多くの場合に改善できます。
ただ「林間学校が近い」「毎朝の後片付けがつらい」「子どもが自信をなくしている」——そんなとき、一緒に何ができるか考えましょう。



「おねしょ」と「夜尿症」の違い
| おねしょ | 夜尿症 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 小学校入学前(5〜6歳まで) | 小学校入学後(6〜7歳以降)も続く場合 |
| 医学的定義 | 発達の過程で自然なもの | 月1回以上、3か月以上続く場合に診断対象 |
| 対応 | 経過観察が基本 | 検査・治療を検討 |
小学校入学後もおねしょが続く場合は「夜尿症」と呼び、治療の対象となります。
院長の子どもたちのことを振り返ってみても、特に男の子は年長さんのお泊り会でのおねしょはよくありました。小学校になったからといってピタリと止まるものでもありません。
小学1年生では約10人に1人、小学4年生でも20〜30人に1人いると言われています。
なぜ夜尿症が起きるの?
夜尿症は主に以下の3つの要因が重なって起きると考えられています。
| 多尿型 | 夜間に尿を濃縮するホルモン(抗利尿ホルモン)の分泌が未発達で、夜中に薄い尿がたくさん作られてしまう。 |
|---|---|
| 膀胱型 | 膀胱に尿をためておく容量が小さく、少量でも尿意を感じてしまう。昼間も頻尿気味な傾向がある。 |
| 混合型 | 上記2つが重なっているタイプ。低年齢に多く、治療には時間がかかることがある。 |
いずれも「意志の弱さ」「しつけの問題」ではありません。体の機能の、発達ペースの問題です。叱っても改善しないどころか、プレッシャーが症状を悪化させることもあるため、温かく見守りながら治療を進めることが大切です。
こんなときは早めにご相談ください
- 小学校入学後もほぼ毎晩おねしょが続いている
- 林間学校・修学旅行・お泊まり行事が近づいている
- 昼間もおもらしがある
- おねしょがいったん治まったのに再び始まった
- お子さんが自信をなくしている、ストレスを感じている様子がある
検査の流れ
お子さんへの負担を最小限にした検査を心がけています。怖い検査はありませんので、安心してお越しください。

問診
おねしょの頻度・量・時間帯のほか、昼間の排尿状況、水分の取り方、生活リズムなどをお聞きします。お子さん本人からの聞き取りが難しい部分も多いので、おうちの方が事前に観察しておいていただけると助かります。

尿検査
尿の状態を確認します。感染症や他の疾患が隠れていないかを確認します。

超音波検査(エコー)
膀胱の大きさ・形状や残尿の量を確認します。お腹の上から当てるだけで痛みはありません。
受診前に記録しておくと診断がスムーズです
- 夜尿の頻度(週に何回くらいか)
- 夜尿の量(シーツまで濡れる?下着だけ?)
- 夕方以降の水分摂取量・内容
- 就寝・起床時間のリズム
- 昼間のトイレの回数・様子
治療

夜尿症の治療は、薬だけではなく、生活習慣の見直しとの組み合わせが大切です。
お子さんの状態(タイプ・年齢・生活環境)に合わせて、無理のない方法を一緒に考えます。
生活習慣の改善
(まず取り組んでいただくこと)
- 夕食後〜就寝前の水分を控えめにする(夕方以降は水分を少なく)
- 寝る前に必ずトイレへ行く習慣をつける
- 規則正しい生活リズムを整える
- 夜尿があっても叱らない、プレッシャーをかけない
薬物療法
- 抗利尿ホルモン薬(デスモプレシン)
- 多尿型に有効。夜間の尿量を減らします。
- 抗コリン薬
- 膀胱型に有効。膀胱の過敏な収縮を抑えます。
- 漢方薬
- 体質に合わせて処方します。西洋薬と組み合わせることもあります。
身体の成長をゆっくり待つつもりだけど、キャンプや林間学校、修学旅行のときだけ心配…という場合も、ご相談ください。イベントにあわせて一時的にお薬を処方することもできます。
おうちの方へ
毎朝の後片付け、学校行事が近づくたびの不安、そしてお子さんに「また…」という顔をさせてしまうことへの罪悪感——夜尿症はお子さんだけでなく、家族みんなへの負担が大きい問題です。
当院ではお子さんが安心して受診できるよう、診察室の雰囲気づくりにも気を配っています。「病院が怖い」というお子さんでも、少しずつ慣れてもらえるよう丁寧に対応します。

院長より
夜尿症のお子さんが診察室で緊張した顔で来て、診察を受けた後に、「なんとかなりそう」とほっとした顔を見せてくれる。そういう場面がとても嬉しいです。
治療はゆっくりでも確実に進みます。「なかなか治らない」と感じる時期もありますが、焦らず一緒に取り組みましょう。
院長 小久保 公人